年収400万円、貯金はほぼゼロ。

その看護師の方は、東京の新築ワンルームと、もう1戸のワンルームを投資目的で購入していました。

ところが運用が始まると、年間およそ100万円が持ち出しになり、売ろうとしても500〜600万円の手出しが必要な状態に陥っていました。

「生活が回らない」

不動産Gメン滝島さんの動画で紹介され、大きな反響を呼んだケースです。

わたしは以前、まさにこの新築ワンルームを売る側にいました。

だから断言できます。

これは、その人がだらしなかったからでも、極端に運が悪かったからでもありません

普通に真面目に働く看護師や会社員が、同じ構造で同じところまで追い詰められます。

この記事では、なぜここまで追い詰められるのかを分解し、自己破産という最後の手段に行き着く前に打てる3つの手を、順番にお伝えします。

年収400万・貯金ゼロの看護師ケースの全体像
年収400万・貯金ゼロの看護師ケースの全体像

なぜ「貯金ゼロ・年収400万」で2戸も買えたのか

最初の疑問はここだと思います。

貯金がないのに、なぜ数千万円の物件を2戸も持てたのか。

答えはフルローン(自己資金ほぼゼロの融資)です。

看護師のような安定した職業は、金融機関から見た「属性」が良く、与信が通りやすい。

業者はそこを見抜いて、あなたの信用枠を使い切るように複数戸を提案します。

つまり「買えた」のは資産に余裕があったからではなく、あなたの勤続と年収を担保に借りられてしまったからです。

ここが最初の落とし穴です。

「買えること」は「無理のない投資であること」を意味しません

属性(勤続・年収)を担保にフルローンで買わされる仕組み
属性(勤続・年収)を担保にフルローンで買わされる仕組み

追い詰めた3つの構造

追い詰められた原因は、大きく3つが重なっています。

① 割高な新築価格で利回りが最初から潰れている

新築ワンルームの価格には、販売会社の利益や広告費が上乗せされています。

高く買っている分、家賃に対する利回りは最初から低い。

だから家賃を得ても、ローン返済と諸経費を引くと毎月マイナスになります。

新築が赤字になりやすい仕組みはワンルーム投資が赤字になる5つの理由で詳しく追っています。

年100万円の持ち出しになる収支の内訳
年100万円の持ち出しになる収支の内訳

② サブリースが家賃を吸い上げる

このケースで効いていたのがサブリース(家賃保証)です。

「空室でも家賃が入るから安心」と説明されますが、実際は入居者からの家賃の一部が手数料として保証会社に吸い上げられます。

しかも保証賃料は数年ごとに減額改定されるのが一般的。

安心料のつもりが、手取りをさらに削る要因になっていました。

サブリースが家賃の一部を吸い上げる
サブリースが家賃の一部を吸い上げる

③ 売っても残債に届かない(オーバーローン)

いちばん重いのがこれです。

新築ワンルームは購入直後に価格が2〜3割下がる一方、ローンはゆっくりしか減りません。

そのため、売却できる価格よりローン残債のほうが大きい状態が続きます。

このケースでは、売っても500〜600万円を自分で足さないと決済できない。

「毎月の赤字がつらいから売りたい。でも売るのに数百万円が要る」

これが、逃げ場をふさぐオーバーローンの正体です。

売却額がローン残債に届かない(手出し500〜600万)
売却額がローン残債に届かない(手出し500〜600万)

「自己破産すれば逃げられる」は本当か

ここで多くの人が考えるのが「いっそ自己破産すれば終わるのでは」という発想です。

結論から言うと、そう単純ではありません

自己破産には財産の処分や、信用情報への長期の記録といった影響があります。

そもそも手続きが認められるかは個別の事情によりますし、連帯保証人がいれば保証人に請求が及ぶこともあります。

「破産すれば全部チャラ」というイメージだけで判断するのは危険です。

なお、自己破産の可否や手続きは、必ず弁護士など法律の専門家に確認してください

この記事は一般的な情報提供であって、法的な助言ではありません。

「自己破産すれば逃げられる」の誤解
「自己破産すれば逃げられる」の誤解

自己破産の"前"に打てる3つの手

大事なのは、いちばん重い選択に行く前に、まだ手が残っているということです。

順番に打っていきます。

  1. 現状を数字で正確に把握する:年間の手取り収支、ローン残債、今の売却見込み価格の3つ。ここが全ての出発点です。
  2. 返済条件の見直し・借り換えを検討する:毎月の赤字幅そのものを小さくできないかを、金融機関と相談する。
  3. 任意売却を含む出口を専門家と設計する:オーバーローンでも、金融機関との調整で売却できる道(任意売却)があります。破産の前に検討すべき選択肢です。
自己破産の前に打てる3つのステップ
自己破産の前に打てる3つのステップ

わたしは物件を売る立場ではありません。

あなたの数字を一緒に整理し、破産に行く前にどの手が残っているかを見つけるのが役割です。

まずは10秒でできる割高診断で今の物件の割高度を確かめ、そのうえで無料相談で出口まで一緒に整理しましょう。

同じように追い詰められた事例はワンルーム投資の失敗事例にもまとめています。

まとめ

年収400万円・貯金ゼロの看護師を自己破産の危機まで追い詰めたのは、本人の落ち度ではなく構造でした。

  • フルローンで属性を使い切らされ、無理のある複数戸を持たされた
  • 割高な新築価格とサブリースで毎月赤字、売っても残債割れ(オーバーローン)
  • 自己破産は単純な逃げ道ではなく、その前に打てる手が複数ある

追い詰められているときほど、一人で抱えず、感情で動かず、まず数字をそろえること

それが、最悪の一手を避けるための最初の一歩になります。

参考動画年収400万円貯金ゼロ看護師がワンルーム投資で自己破産の危機「生活回らない…」(不動産Gメン滝島・YouTube)


※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定物件の購入・売却を勧誘するものではありません。自己破産・任意売却などの可否や手続き、法的効果については弁護士等の専門家にご相談ください(本記事は法的助言ではありません)。文中の金額は報道・公開情報をもとにした一般的な目安であり、個別物件・個人の状況により異なります。投資判断はご自身の責任でお願いします。