「事前審査は通ったのに、本審査で融資が止まった」。

「良い物件を見つけたのに、この物件は融資が難しいと言われた」。

不動産投資を始めようとすると、多くの方がこの「融資の壁」にぶつかります。

わたしは元・新築ワンルームの営業として、そして今は不動産投資セカンドオピニオンとして、2,000人を超える方の相談に対応してきました。

その経験から断言できるのは、融資が止まる物件には、はっきりとした共通点があるということです。

この記事では、銀行が「嫌う」物件の特徴と、審査で見られるポイント、そして融資を味方につける具体策を、中立の立場でお伝えします。

銀行が嫌う物件と融資が止まるケースの全体像
銀行が嫌う物件と融資が止まるケースの全体像

なお本記事は、YouTubeチャンネル「アユカワTV」で語られている「銀行が絶対に嫌う収益物件」「2026年の融資動向」の論点も参考にしています。

ただし内容の転載ではなく、営業現場と相談現場で得た一次の視点で、こうのすけが独自に解説します。

銀行が「嫌う」物件とは|融資が止まる根本理由

結論から言えば、銀行が嫌う物件とは「担保評価が出にくく、売却しづらい物件」です。

銀行は慈善事業ではなく、貸したお金を利息付きで確実に回収することが仕事です。

だからこそ、万が一返済が滞ったときに「その物件を売れば貸金を回収できるか」を最重視します。

銀行がお金を貸す判断基準
銀行がお金を貸す判断基準

つまり融資審査とは、あなたの投資が儲かるかどうかを見ているのではありません。

銀行が見ているのは「貸したお金が返ってくるか」の一点なのです。

ここを理解していないと、「利回りが高いのになぜ融資が付かないのか」という疑問がずっと解けません。

高利回りに見える地方物件が融資で敬遠されるのは、まさにこの担保評価と流動性の問題があるからです。

わたしが営業時代に見てきた融資否決の多くは、物件の収益性ではなく、この「回収可能性」の低さが原因でした。

だからまず押さえるべきは、銀行の視点で物件を眺める習慣です。

銀行の審査で見られる4つのポイント

融資審査は、大きく分けて「物件評価」「属性」「エリア」「築年数」の4つで判断されます。

このどれか一つでも基準を大きく外れると、融資は止まります。

逆に言えば、この4点を押さえた物件を選べば、審査は驚くほどスムーズに進みます。

審査で見られる4つのポイント
審査で見られる4つのポイント

物件評価は、土地と建物の担保価値です。

属性は、あなたの年収・勤続年数・勤務先・他社借入などの「返済能力」を指します。

エリアは、賃貸需要と再販のしやすさ、築年数は耐用年数(法定の残存年数)にかかわります。

わたしが相談を受けるなかで多いのは、「良い物件を見つけたのに属性が足りない」ケースと、「属性は十分なのに物件が悪い」ケースの両極端です。

融資は物件と人の掛け算ですから、どちらか一方が優れていても、もう一方が弱ければ承認は下りません。

自分の属性を客観的に把握したうえで、それに見合った物件を選ぶ姿勢が欠かせません。

融資と銀行、繰り上げ返済の基本的な考え方については、ワンルームマンション投資の融資と繰り上げ返済の考え方でも詳しく整理しています。

銀行が特に嫌う物件の具体例

銀行が特に融資を渋る物件には、はっきりした型があります。

代表的なものは、旧耐震基準の物件、違法建築、借地権、そして地方の需要が薄い一棟アパートです。

これらは「担保評価が出ない」「売りにくい」という共通点を持っています。

銀行が特に嫌う物件の具体例
銀行が特に嫌う物件の具体例
嫌われる物件銀行が敬遠する理由
旧耐震(1981年5月以前)耐震性への不安・評価減
違法建築・容積率オーバー再建築や売却に支障
借地権土地担保が取れない
地方の築古木造アパート賃貸需要と流動性が低い
総戸数が極端に少ない区分修繕積立の脆弱さ

たとえば、表面利回り12%をうたう地方の築古アパート。

数字だけ見れば魅力的ですが、耐用年数を超えた木造は融資期間が極端に短くなり、そもそも融資自体が付かないことが少なくありません。

わたしが相談を受けた40代の会社員の方は、こうした物件に惚れ込んでしまい、結局どの銀行からも融資を得られず、時間だけを浪費してしまいました。

高利回りの裏には、たいてい「銀行が嫌う理由」が隠れているのです。

一方で、東京23区の中古ワンルームは、こうした地雷要素が少なく、担保評価も安定しているため、融資が付きやすい傾向にあります。

「融資が止まる」典型パターン

事前審査を通過しても、本審査や決済直前で融資が止まることがあります。

主な原因は、他社借入の判明、年収や勤続の変化、担保評価の不足、書類の不備の4つです。

これらは物件そのものより「人」に起因することが多いのが特徴です。

融資が止まる典型パターン
融資が止まる典型パターン

特に多いのが、審査後に新たなローンを組んでしまうケースです。

事前審査後に自動車ローンやカードローンを組むと、返済比率が悪化し、本審査で否決される例をわたしは何度も見てきました。

融資が固まるまでは、新規の借入やクレジットの分割払いを増やさないことが鉄則です。

また、確定申告書や源泉徴収票の内容と、申告した年収が食い違うと、その時点で信頼を損ないます。

書類は正確に、そして事前に整えておくことが、融資を止めないための地味だけれど確実な対策です。

融資が厳しいと感じたときこそ、焦って条件の悪い物件に飛びつかず、一度立ち止まって原因を切り分けることが大切です。

2026年に向けて融資が厳しくなる背景

2026年に向けて、不動産投資の融資はやや慎重化する局面に入りつつあります。

背景にあるのは、金利上昇局面への移行と、金融機関の審査姿勢の見直しです。

これはアユカワTVの動画でも指摘されている論点ですが、わたしの相談現場でも、実際に審査のハードルが上がってきた実感があります。

2026年に向けた融資環境の変化
2026年に向けた融資環境の変化

金利が上がると、銀行は返済能力の審査(返済比率)をより厳しく見るようになります。

同じ物件・同じ年収でも、金利が上がれば毎月の返済額が増え、返済比率が悪化するためです。

つまり、これまで通っていた属性でも、今後は融資枠が縮む可能性があるということです。

金利上昇が実際の収支にどう効いてくるかは、金利上昇がワンルームマンション投資に与える影響で具体的な数字とともに解説しています。

ただ、これは悲観すべき話ばかりではありません。

融資が引き締まる局面では、無理な物件を掴む人が減り、堅実な投資家にとってはむしろ選別がしやすくなる面もあります。

環境が厳しくなるからこそ、銀行に評価される物件を選ぶ目が、これまで以上に重要になります。

融資を通すための5つの対策

融資を通すために大切なのは、「銀行に嫌われない物件」を選び、「自分の属性に合った銀行」に持ち込むことです。

小手先のテクニックより、この二つの原則を守るほうが、はるかに確実です。

以下に、具体的な5つの対策を整理します。

融資を通すための5つの対策
融資を通すための5つの対策

1つ目は、担保評価が出やすい物件を選ぶこと。

新耐震・所有権・都心部の物件を軸にするだけで、融資の土台が固まります。

2つ目は、審査前後に新規借入をしないこと。

3つ目は、確定申告書や源泉徴収票を事前に整えておくこと。

4つ目は、自己資金を一定程度用意し、返済比率に余裕を持たせること。

5つ目は、自分の属性で借りられる金融機関を知ることです。

わたしが相談者にいつもお伝えしているのは、融資は「物件選び」の前に「銀行選び」で半分決まるということです。

同じ物件でも、持ち込む銀行を間違えれば否決され、正しく選べば承認される。

この違いを知っているかどうかが、情報強者と情報弱者の分かれ目になります。

自分の属性で借りられる金融機関を知る

融資を味方につける鍵は、自分の属性で「どの銀行が使えるか」を正確に把握することです。

年収・勤務先・自己資金によって、利用できる金融機関はほぼ決まっています。

ここを知らずに手当たり次第に申し込むと、否決の履歴だけが積み上がってしまいます。

属性別に使える金融機関の考え方
属性別に使える金融機関の考え方

たとえば年収500万円前後の会社員なら、区分マンション向けの提携ローンが現実的な選択肢になります。

一方、年収が高く自己資金も厚い方なら、より低金利のプロパーローンを狙える可能性があります。

大切なのは、「自分がどの土俵で戦っているか」を理解することです。

わたしの経験上、審査で無駄足を踏む方の多くは、この土俵の見極めができていません。

複数の銀行に一度に申し込んで否決が重なると、信用情報に記録が残り、その後の審査でも不利になることがあります。

だからこそ、申し込む前に第三者に相談し、勝算の高い銀行に絞って持ち込む戦略が有効なのです。

ワンルームこそ融資が通りやすい理由

数ある不動産投資の中で、東京の中古ワンルームマンションは、最も融資が通りやすいカテゴリのひとつです。

理由は、価格が手頃で借入額が小さく、担保評価と賃貸需要が安定しているからです。

銀行が嫌う要素の少ない物件だからこそ、初心者でも融資という武器を使いやすいのです。

ワンルームが融資に強い理由
ワンルームが融資に強い理由

一棟アパートは融資額が数千万円から億単位になり、審査のハードルも一気に上がります。

その点、1,500万〜4,000万円程度のワンルームは、年収450万円前後の会社員でも融資が通りやすく、初期費用も10万円程度から始められます。

物件価格が小さいということは、銀行から見れば「回収リスクが小さい」ということでもあります。

もちろん、ワンルームなら何でも良いわけではありません。

総戸数が少なすぎる物件や、地方の需要が薄いエリアは、ワンルームでも融資が渋くなります。

「銀行が嫌わない物件を、通りやすい銀行に持ち込む」。

この基本を守れば、融資は初心者にとっても十分に手の届く味方になります。

まとめ|銀行が嫌う物件を避けて融資を味方に

最後に、この記事の要点を振り返ります。

銀行が嫌うのは「担保評価が出にくく、売りづらい物件」であり、融資審査は物件と属性の掛け算で決まります。

そして2026年に向けて金利上昇局面が続くなか、審査はやや慎重化しています。

まとめ|融資を味方につける手順
まとめ|融資を味方につける手順

だからこそ、旧耐震・違法建築・借地権・地方築古といった地雷を避け、新耐震・所有権・都心の物件を選ぶこと。

そして、自分の属性で借りられる銀行を見極め、審査前後に余計な借入をしないこと。

この基本を守るだけで、融資の通過率は大きく変わります。

とはいえ、「この物件は銀行に評価されるのか」「自分の属性でどこまで借りられるのか」は、独学では判断が難しいものです。

売る側ではない中立の第三者に、購入前に一度セカンドオピニオンを求めることを、わたしは強くおすすめします。

融資という強力な武器を、正しく味方につけていきましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定物件の購入や勧誘を意図するものではありません。記載の数値や基準は一般的な目安であり、金融機関や時期によって異なります。融資条件や審査結果は個別に判断され、最終的な投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

参考:YouTubeチャンネル「アユカワTV」(銀行が絶対に嫌う収益物件/2026年の融資動向に関する動画)