「年収1000万円」は、ひとつの目標として語られる年収です。けれど実際に使えるお金は、額面の7割ほどです。

年収1000万円の手取りは約727万円、月にならすと約60.6万円です。しかも同じ年収1000万円でも、賞与の割合・年齢・扶養の有無で、年に10万円以上変わります。この記事では、2026年(令和8年)の最新の料率で計算し、どこでいくら変わるのかを示します。

この記事を書いている私たちの立場

私たち「みんなのワンルーム投資」は、ワンルーム投資の相談サービスを運営しています。代表のこうのすけは、14年間で2,000名以上の不動産投資の相談を受けてきました。年収が1000万円前後になると、投資用マンションの営業を受ける方が一気に増えます。この記事の数字は、国税庁・財務省・協会けんぽ・日本年金機構・総務省が公表している料率と計算式を使って当社が計算したものです。

年収1000万円の手取りの内訳

年収1000万円の手取りの内訳
年収1000万円の手取りの内訳

前提:会社員・40歳未満・扶養なし・東京(協会けんぽ)・賞与なし(月給約83.3万円×12か月)・控除は社会保険料控除と基礎控除のみ。

項目年額月あたり
年収(額面)1,000万円83.3万円
健康保険・子ども・子育て支援金50.4万円4.2万円
厚生年金71.4万円6.0万円
雇用保険5.0万円0.4万円
所得税(復興特別所得税を含む)82.2万円6.8万円
住民税64.0万円5.3万円
手取り727.0万円60.6万円

年収の27%、約273万円が差し引かれています。その内訳は、社会保険料が約127万円、税金が約146万円です。

税金の計算の流れ(年収1000万円の例)

所得税の計算の流れ
所得税の計算の流れ
  1. 給与所得控除:年収850万円を超えると上限の195万円
  2. 給与所得:1,000万円 − 195万円 = 805万円
  3. 課税所得(所得税):805万円 − 社会保険料126.8万円 − 基礎控除62万円 = 約616.2万円
  4. 所得税:616.2万円 × 20% − 42.75万円 = 80.49万円 → 復興特別所得税(×1.021)で 約82.2万円
  5. 住民税:805万円 − 126.8万円 − 基礎控除43万円 = 約635万円 × 10% + 均等割5,000円 = 約64.0万円

ポイントは次の2つです。

  • 基礎控除は62万円:2026年は合計所得489万円以下の人に基礎控除104万円の特例がありますが、年収1000万円(合計所得805万円)は対象外で、62万円です
  • 所得税率は20%:課税所得330万円超〜695万円以下の段階。課税所得が695万円を超えると23%になります

同じ年収1000万円でも手取りが変わる3つの条件

条件ごとの手取りの違い
条件ごとの手取りの違い
条件手取り賞与なし・40歳未満・扶養なしとの差
賞与なし・40歳未満・扶養なし(基本)727.0万円
賞与4か月分(月給62.5万円+賞与125万円×2回)713.0万円−14.0万円
40〜64歳(介護保険料が加わる)721.4万円−5.6万円
配偶者控除あり(配偶者の給与収入が136万円以下)738.1万円+11.1万円

① 賞与の割合で約14万円変わる理由

厚生年金の保険料は、月給(標準報酬月額)が65万円で上限になります。月給83.3万円の人は上限で止まるため、65万円を超えた部分に厚生年金の保険料がかかりません。

一方、賞与が多く月給62.5万円の人は上限に届かず、さらに賞与にも1回150万円まで保険料がかかります。そのため、同じ年収でも賞与の割合が高い人ほど社会保険料が多くなり、手取りが少なくなります

※厚生年金の保険料を多く払うと、将来受け取る年金は増えます。手取りが少ないことが、そのまま損とは限りません。

② 40歳から介護保険料が加わる

40歳になった月から、健康保険料に介護保険料(本人0.81%)が加わります。年収1000万円なら年約8万円増え、税金が少し減るので、手取りの差は約5.6万円です。

③ 配偶者控除は2026年から「年収136万円」が目安に

配偶者の合計所得が62万円以下(2026年分から58万円→62万円に引き上げ)なら、配偶者控除(所得税38万円・住民税33万円)を受けられます。配偶者の収入が給与だけなら、給与所得控除74万円と合わせて年収136万円以下が目安です。

本人の合計所得が900万円(年収1,095万円)を超えると、配偶者控除は26万円・13万円と段階的に減り、1,000万円(年収1,195万円)を超えるとゼロになります。

年収900万円〜1200万円との比べ

年収900〜1200万円の手取り
年収900〜1200万円の手取り
年収手取り(年)手取り(月)所得税住民税
900万円661.3万円55.1万円62.9万円54.6万円
1,000万円727.0万円60.6万円82.2万円64.0万円
1,100万円792.3万円66.0万円101.9万円73.5万円
1,200万円855.1万円71.3万円124.1万円82.9万円

年収が100万円増えるごとに、手取りは約63〜66万円しか増えません。増えた100万円のうち、約3分の1は税金と社会保険料になります。

2026年に年収1000万円の人に関係する変更

2026年の変更点
2026年の変更点
  1. 基礎控除が58万円→62万円(本則の引き上げ):所得税が約0.8万円減る
  2. 子ども・子育て支援金(2026年4月分から・本人0.115%):年約1.1万円増える
  3. 健康保険料率 9.91%→9.85%(東京):年約0.3万円減る
  4. 配偶者などの所得要件 58万円→62万円:扶養に入れる配偶者・親族の範囲が少し広がる

⚠️ 所得税の基礎控除の引き上げは、2026年11月までの毎月の給与では反映されず、12月の年末調整でまとめて精算されます。

ふるさと納税の上限の目安

ふるさと納税の上限
ふるさと納税の上限

総務省が示している計算式(住民税所得割×20% ÷(90% − 所得税率×1.021)+2,000円)で計算した、自己負担2,000円で収まる寄付額の目安です。

年収独身・扶養なし配偶者控除あり
900万円約15.7万円
1,000万円約18.5万円約17.5万円
1,100万円約22.1万円
1,200万円約25.0万円

※住宅ローン控除・医療費控除・iDeCoなどがあると上限は下がります。寄付の前に各ポータルのシミュレーションで確かめてください。

年収1000万円で「不動産投資で節税」と言われたら

不動産投資の節税の確かめ方
不動産投資の節税の確かめ方

年収1000万円前後になると、「税金が戻る」「節税になる」という投資用マンションの提案を受けやすくなります。当社の試算では、不動産所得の赤字100万円を給与と相殺すると、所得税と住民税は合わせて約30.4万円減ります(手取り727.0万円→757.5万円)。

ただし、次の3つを並べて見ることが大切です。

確かめること理由
赤字のうち、実際に出ていくお金はいくらかローンの利息・管理費・修繕積立金・固定資産税は現金で払う。減価償却費だけが「出ていかない経費」
2年目以降も赤字は同じか購入時の諸費用は1年目だけ。ローンの利息も年々減る
売るときにいくらになるか割高な価格で買うと、売るときの損が節税額を上回る

「年に30万円戻る」は、「年に30万円得をする」ではありません。実際の物件の数字での試算は「「ワンルーム投資は節税にならない」は本当?」で紹介しています。

年収1000万円の人の「手取りで考える」チェック

手取りで考えるチェック
手取りで考えるチェック
  1. 月の手取り60.6万円のうち、固定で出ていくお金は何%か(家賃・ローン・保険・積立)
  2. 賞与をあてにした支出になっていないか(賞与の多い会社は月給が少ない)
  3. 40歳・昇給・転職で手取りがどう変わるか(年収が100万円増えても手取りは約65万円)
  4. 「節税」の提案は、戻る税金と出ていくお金を並べたか

年収全体の手取りのしくみは「年収と手取りの違い・2026年の手取り早見表」にまとめています。

まとめ

まとめ
まとめ
  • 年収1000万円の手取りは約727万円(月約60.6万円)。社会保険料約127万円・所得税約82万円・住民税約64万円
  • 賞与の割合が高いと約14万円少なく配偶者控除があると約11万円多くなる
  • 2026年は基礎控除62万円・子ども・子育て支援金・配偶者の所得要件62万円などの変更がある
  • ふるさと納税の上限の目安は約18.5万円(独身・扶養なし)
  • 不動産投資の「節税」は、戻る税金と出ていくお金を並べて判断する

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の物件の購入・売却や金融商品を勧誘するものではありません。税金・社会保険料の実際の金額は、扶養の有無・勤務先の健康保険組合・賞与・各種控除などで変わります。正確な金額は勤務先・税務署・税理士にご確認ください。

※計算の前提:会社員/東京都(協会けんぽ東京支部)/標準報酬月額は月給と同額とみなす/賞与ありの例は年2回・同額/控除は社会保険料控除・基礎控除(と配偶者控除の例のみ配偶者控除)/住民税は同じ年収が続く前提で令和9年度分の控除により計算し、調整控除は省略。千円未満は四捨五入して表示。ふるさと納税の上限は目安。

※出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱」(2025年12月26日閣議決定)、国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」・タックスアンサーNo.1191(配偶者控除)、全国健康保険協会「令和8年度保険料率」(東京支部)、日本年金機構(厚生年金保険料率・標準報酬月額と標準賞与額の上限)、厚生労働省「令和8年度 雇用保険料率」、総務省「ふるさと納税ポータルサイト」(控除額の計算式)。料率は2026年9月14日時点。