4月から6月は、賃貸市場の閑散期だ。引越し需要が一段落し、空室が長引きやすく、「家賃を下げて早く決める」のが管理会社の慣行として根づいてきた。
今年は、その慣行が覆された。
日本財託グループが2026年7月に発行した「ワンルームマンション賃貸実績レポート(2026年4月〜6月)」によると、東京23区の分譲ワンルームの平均成約賃料は90,316円。前年同四半期(2025年4〜6月、81,854円)から8,462円上昇した。
そして賃料の上昇率は10.0%。繁忙期にあたる同年1〜3月(9.6%)を上回った。
25.7日で次の家賃が入る
空室が埋まるスピードは、キャッシュフローに直接影響する。
今期の東京23区における解約日から賃料発生までの平均日数は25.7日。前年同四半期(24.2日)より1.5日伸びたが、2022年の35.9日、2023年の28.7日と比べると、中長期では短縮傾向が続いている。
総契約件数は1,610件。そのうち30平米未満のワンルームが1,366件を占めた。 
閑散期に増額を取りにいった理由
なぜ閑散期に家賃が上がったのか。
日本財託は今期、反響状況と空室日数を週次でモニタリングしながら、「繁忙期並みの増額チャレンジ」を徹底した。入居需要が落ちる時期に家賃を下げるのではなく、相場より高い水準で出してみて、反応を見ながら調整するアプローチだ。結果、閑散期(4〜6月)の平均賃料上昇額は8,798円となり、繁忙期(1〜3月)の8,057円を上回った。 
築年代で開く差
物件の築年代別に成約賃料の変化を見ると、新しい物件ほど上昇幅が大きい傾向がある。
東京23区の分譲タイプ、解約前賃料→最新成約賃料
- バブル以前(〜1987年):69,712円 → 75,534円(+5,822円)
- バブル期(1988〜1994年):67,760円 → 73,137円(+5,377円)
- 低迷期(1995〜1999年):82,757円 → 91,089円(+8,332円)
- 2000年代(2000〜2009年):90,958円 → 102,175円(+11,217円)
- 築浅物件(2010年〜):103,133円 → 116,750円(+13,617円・113%)
築浅物件(2010年以降)は、前の入居者の退去賃料から13,617円の増額成約となった。空室が出るたびに家賃を引き上げられるという意味で、このデータは築浅物件の優位性をはっきりと示している。 
エリア別で見える城東の底堅さ
今期の主要エリア別成約賃料(東京23区)は以下のとおりだ。
城南・都心エリア(分譲タイプ小計)
- 千代田区:111,474円(空室日数25.1日)
- 港区:110,100円(23.0日)
- 中央区:106,721円(23.3日)
- 渋谷区:106,245円(26.1日)
城東・城北エリア(分譲タイプ小計)
- 江東区:106,538円(23.2日)
- 台東区:94,265円(23.7日)
- 墨田区:90,549円(23.2日)
- 荒川区:95,231円(25.2日)
空室日数だけを見れば、城東・城北エリアの多くは都心と大差がない。家賃水準は低めながら、需要の強さは同水準という区が複数ある。 
外国籍入居者が28%に
今期の外国籍契約者数は448件で、全契約の27.8%を占めた。内訳は中国が346件と最多で、台湾19件、韓国17件が続く。閑散期に外国籍の需要が厚みを加えていることが、今期の賃料上昇を支えた一因とも見られる。 
6月末の入居率
日本財託が管理する全34,323戸の6月末時点の入居率は99.74%。自社販売分(20,117戸)は99.96%だった。管理戸数は拡大を続けており、オーナー数は11,181名に達している。
閑散期の賃料が繁忙期を超えた今期のデータは、「空室期間を短くするために家賃を下げる」という管理の慣行が、必ずしも合理的でないことを示唆している。市場の需要を見ながら賃料設定を攻める姿勢が、オーナーの実収入に直結するという実績だ。
*出典:日本財託グループ「ワンルームマンション賃貸実績レポート(2026年4月〜6月)」(2026年7月発行)*
