結論から: 白川方明・元日銀総裁は、通貨の信用は中央銀行単独では維持できず、社会全体のエコシステムによって支えられると説く。
この記事の要点
- 通貨の信用は宣言だけでは成立せず、社会的な生態系の構築が不可欠
- 書名の着想源はニーアル・ファーガソン著『マネーの進化史』の一節
- 通貨の安定は財政の持続可能性と表裏一体の関係にある
- 中央銀行の独立性を守るためにも、市民の理解と支持が前提条件となる
- 答えの出ない問いを問い続ける姿勢が、本書執筆の根底にある
白川氏は、中央銀行が「これが通貨だ」と宣言するだけでは信用は生まれないと強調する。政府や中央銀行は重要な役割を担うものの、社会の多様な要素が連携したエコシステムを形成して初めて、通貨の信頼は持続できるという考え方だ。
書名の方向性を決定づけたのは、歴史家ニーアル・ファーガソンの著作『マネーの進化史』に登場する「通貨にいかにして信用を刻印するか」という表現だった。この問いが、白川氏自身の長年の思索と重なったとされる。
通貨の安定を支える根幹として、白川氏は財政の持続可能性を挙げる。増税や歳出抑制といった政策は国民の理解なしには実行できず、中央銀行の独立性もまた市民の信任があって初めて機能する。
本書は専門家だけでなく、一般市民をも主要な読者として想定して書かれた。財政や金融政策の問題は最終的に市民の選択にかかわるため、幅広い層に問題意識を共有してほしいという意図が込められている。
白川氏は「答えが出ない問いを自問自答し続けている」と述べており、確定的な結論を示すよりも、読者とともに問い続ける姿勢を本書全体を通じて大切にしている。




本記事は 東洋経済オンライン の報道をもとに、当社編集部が独自に要約・再構成したものです(原文の転載ではありません)。詳細・正確な情報は出典の原文をご確認ください。
出典:東洋経済オンライン「『通貨に信用を刻印する』を書いて――白川方明・元日銀総裁「答えが出ない問いを自問自答し続けている」」(https://toyokeizai.net/articles/-/950923?utm_source=rss&utm_medium=http&utm_campaign=link_back)2026年7月アクセス
