結論から: 今週は東京カンテイの最新レポートから、首都圏中古マンションの底堅い価格動向を読み解きます。リセールバリュー平均160.5%という数字の裏側にある「立地の二極化」と「鈍化のサイン」を確認。あわせて税金や保険を装った詐欺メールの注意点も、資産を守る視点でまとめました。

・首都圏・築10年中古のリセールバリュー平均は160.5%、新築割れ駅は6駅まで減少 ・中古坪単価は8期連続上昇も、築浅の伸びは鈍化し流通戸数は7期連続縮小 ・税金・保険・金融機関を装うPayPay送金型フィッシングが相次ぎ報告

今週の主役は東京カンテイの2つの市況レポートです。「2015年前後に買った物件の多くが新築時を上回る価格で流通している」という結果は、立地を選んだ中古マンションの底堅さを示す一方、上位は港区・中央区に集中し、エリア差がくっきり出ています。価格上昇のニュースは心強いですが、戸数縮小や築浅の伸び鈍化といった「冷静に見るべき数字」も同居しています。あわせて、納税シーズンに便乗した詐欺メールの注意喚起も取り上げ、攻めと守りの両面で整理しました。

日銀・金利の動き:中古マンション「73ヶ月ぶりの単価下落」が映す金利と市況の転換点

日銀・金利の動きの要点
日銀・金利の動きの要点

1)今週の動き:6年ぶりに中古マンション単価が前年割れ

今週いちばん「金利と不動産」の関係を考えさせられたのは、東日本レインズが出した2026年5月の首都圏中古マンション市況です。成約㎡単価が80.78万円/㎡となり、前年比▲3.9%。2020年4月以来、実に73ヶ月ぶりに前年比マイナスへ転じました。約6年間、毎月のように「前年より高い」を続けてきた首都圏の中古マンション価格が、ついに一度止まったわけです。

同時に出ている数字も合わせて読むと、流れが見えてきます。成約件数は3,709件で前年比▲3.4%と2ヶ月連続の減少。一方で在庫件数は45,804件で前年比+3.4%と3ヶ月連続の増加。つまり「売り物件は積み上がっているのに、買う人が減っている」という、需給がゆるみ始めたサインです。価格は需給で決まりますから、売りが増えて買いが減れば、単価が前年割れするのは自然な動きと言えます。

ここで効いてくるのが金利です。日銀は近年、長くゼロ近辺だった政策金利を段階的に引き上げる方向に動いてきました。金利が上がると、住宅ローンの返済負担が増え、同じ月々の支払いで「借りられる総額」が減ります。たとえば金利が0.5%上がるだけでも、35年・5,000万円の借入では総返済額が数百万円単位で変わってきます。買い手の予算が事実上目減りするので、価格に上限が見え始める:これが今回の単価下落の背景にある構造的な力です。

一方で別のレポートも見ておく必要があります。東京カンテイによれば、2026年Q1の中古平均坪単価は324.3万円で前期比+5.9%と8期連続のプラス。レインズの「5月の前年比マイナス」とは一見矛盾しますが、これは「集計対象期間」と「前年比か前期比か」の違いです。長い上昇トレンドのなかで、足元の勢いが鈍り始めた:というのが両方を矛盾なく読む解釈になります。事実、カンテイでも「築5年以内」の中古坪単価の上昇率は前期+6.8%から今期+2.4%へと大きく鈍化しています。

2)ワンルーム投資・家計への含意:つまずきやすい誤解

日銀・金利の動きの補足
日銀・金利の動きの補足

ここで投資家・お金関心層がつまずきやすい点を3つ挙げます。

ひとつ目は「価格が下がる=買い時」という早合点です。単価が前年割れしても、それは新築時比で見ればまだ高い水準にあります。東京カンテイの2025年リセール調査では、首都圏377駅の平均リセールバリューは160.5%、神谷町に至っては462.2%。つまり多くのエリアで中古価格は新築時を上回ったまま。「下落」と言っても高止まりからの一服であって、安く拾えるバーゲン状態ではありません。

ふたつ目は、ワンルーム投資家が最も影響を受ける「金利と利回りの板挟み」です。物件価格が高止まりすると表面利回りは下がります。そこに変動金利の上昇が重なると、ローン返済額が増え、手残り(キャッシュフロー)が圧迫されます。たとえば家賃収入が変わらないのに、金利上昇で月々の返済が5,000円増えれば、年6万円が消えます。新築ワンルームのように、もともと表面利回りが3〜4%台と薄い物件ほど、金利上昇でキャッシュフローが赤字に転落しやすい構造です。

みっつ目は「区分マンションと戸建ては別物」という視点の欠落です。今回のレインズでは、中古マンションが前年割れする一方、中古戸建ては成約価格4,215万円で前年比+8.7%、5ヶ月連続上昇と方向が分かれています。不動産は「全部が同じ方向に動く」資産ではない、という当たり前の事実が、今まさに数字に出ているわけです。

3)こうのすけの助言:今すべき判断と避ける行動

私がセカンドオピニオンの現場でお伝えしているのは、まず「自分の借入が変動か固定か」を確認することです。変動金利で借りている方は、金利が0.25〜0.5%上がった場合に月々の返済とキャッシュフローがどう変わるか、必ず一度シミュレーションしてください。手元の家賃から返済・管理費・修繕積立・固定資産税を引いて、本当に黒字かを数字で見る。これが最優先です。

見るべき数字は3つ。①在庫件数(売りが積み上がるとエリアの価格交渉力は買い手に移る)、②自分の物件エリアの成約単価の前年比、③変動金利の基準金利の改定通知です。この3つを四半期ごとに点検するだけで、判断の精度はかなり上がります。

避けてほしい行動は、「価格が下がったから慌てて買う」「金利が上がったから慌てて売る」という反射的な動きです。今は明確な転換点ではなく、上昇から横ばい・調整への移行局面。焦って動くより、自分の収支が金利上昇に耐えられるかを冷静に確かめる時期です。利回りの薄い新築ワンルームを「節税になるから」と数字を詰めずに買うのは、金利上昇局面では特に危険だと正直にお伝えしておきます。

住宅・マイホーム/マネー:中古マンション「73ヶ月ぶりの値下がり」をどう読むか

住宅・マイホーム/マネーの要点
住宅・マイホーム/マネーの要点

今週の動き:上がり続けた中古が、ついに前年割れ

今週いちばん注目したいのは、東日本レインズが公表した2026年5月の首都圏中古マンション市況です。成約㎡単価が80.78万円/㎡となり、前年比▲3.9%。これは2020年4月以来、実に73ヶ月ぶりの前年割れです。約6年間「上がり続けた」相場が、ひとつの節目を迎えたと言えます。

数字をもう少し分解しましょう。成約件数は3,709件で前年比▲3.4%と2ヶ月連続の減少。一方で在庫件数は45,804件、前年比+3.4%で3ヶ月連続の増加です。つまり「売りに出る物件は増えているのに、売れる件数は減っている」という、需給がゆるみ始めたサインが同時に出ています。売り物件が積み上がれば、価格は当然下押し圧力を受けます。

ただし、これを単純に「不動産バブル崩壊」と読むのは早計です。同じ週、東京カンテイの調査では2026年Q1の中古平均坪単価が前期比+5.9%の324.3万円と8期連続上昇。さらに首都圏377駅の築10年リセールバリュー平均は160.5%、神谷町に至っては462.2%と、新築時を上回って売れている駅が大半という結果も出ています。レインズの月次は「足元の温度」、カンテイの調査は「ここ10年の蓄積」。時間軸が違うので、両方が同時に成り立ちます。

注目は、カンテイのデータで「築5年以内」の中古坪単価の上昇率が前期+6.8%→今期+2.4%へ大きく鈍化した点。新築に近い高額帯から、先に勢いが鈍り始めているのです。中古戸建が前年比+8.7%で5ヶ月連続上昇していることと合わせると、「マンションだけ一服」という二極化が進んでいます。

ワンルーム投資・家計への含意:平均の罠と「出口」の現実

住宅・マイホーム/マネーの補足
住宅・マイホーム/マネーの補足

ここで誤解しやすい点を3つ整理します。

第一に、「平均160.5%」をあなたの物件に当てはめてはいけないこと。リセールバリュー150%超は171駅ですが、上位30駅のうち13駅が港区、6駅が中央区。資産価値が伸びたのは都心・湾岸の限られたエリアです。新築時を下回った駅も6駅残っています。郊外や駅遠のワンルームを「平均で1.6倍になる」と期待するのは、神谷町の数字を自分の財布に持ち込む錯覚です。

第二に、月次の▲3.9%は「下げ局面入り」の可能性を示すが、確定ではないこと。1ヶ月の前年割れだけで「暴落だ」と慌てて投げ売りするのも、「一時的だ」と無視するのも危険です。在庫増・成約減という二つの数字がセットで続くかどうか、今後2〜3ヶ月の継続性を見る必要があります。

第三に、フィッシング詐欺の急増。今週もフィッシング対策協議会から、国民健康保険料・住民税・国民年金・保険料の「未納」「差押え」を口実にPayPay送金へ誘導する手口、auじぶん銀行や住信SBIネット銀行、SBI証券、第一生命「資産Plus 5000円」をかたる偽メールが立て続けに報告されました。家賃や管理費を口座振替・カード決済している投資家は格好の標的です。送金型詐欺は補償されないケースが多く、資産形成の積み上げが一瞬で消えます。

こうのすけの助言:今すべき判断、見るべき数字、避ける行動

まず見るべき数字。あなたが保有・検討しているワンルームの「最寄り駅のリセールバリュー」と「直近の在庫件数の推移」です。前者はカンテイ等の駅別データ、後者はレインズや大手ポータルの掲載件数で肌感がつかめます。在庫が増え続け、同じ間取りの売り出しが値下げされ始めたら、出口は確実に重くなります。

次に今すべき判断。売却を漠然と考えているなら、「いつ売るか」より「いくらなら手放すか」のラインを今のうちに決めておくこと。値下げ局面では「もう少し待てば戻る」という期待が判断を遅らせ、結果的に在庫の山に埋もれます。逆に、保有を続けるなら家賃の下落耐性・空室率・修繕積立の値上げ予定を点検し、キャッシュフローが赤字化しないかを確認してください。価格が一服しても、毎月の収支が黒字なら慌てて動く理由はありません。

避けるべき行動は3つ。①「平均1.6倍」を根拠に郊外ワンルームを割高で掴むこと。②月次1回の下落で投げ売りすること。③メールやSMSのリンクから税金・保険料・口座確認を行うこと。支払いや確認は必ず自治体・金融機関の公式アプリやブックマークから。新NISAで積み立てた資産も、証券会社をかたる偽ログイン画面に一度入力すれば台無しです。

相場の節目は、煽られて動く人ほど損をします。平均ではなく自分の物件の数字を、急かす文面ではなく公式の窓口を。その二つを守るだけで、今週のニュースは「冷静に点検する好機」に変わります。

建設・不動産市況:中古マンション「73ヶ月ぶり下落」と、上がり続ける建築費の二つの流れ

建設・不動産市況の要点
建設・不動産市況の要点

今週の動き:価格と数量が逆方向に動き始めた

今週いちばん注目したいのは、東日本レインズの2026年5月市況です。首都圏中古マンションの成約㎡単価が80.78万円/㎡となり、前年比▲3.9%。これは2020年4月以来、実に73ヶ月ぶりの前年比マイナスです。約6年間ずっと上がり続けてきた中古マンション価格が、初めて前年割れに転じたという節目の数字といえます。

ただし、これを「暴落の始まり」と早合点するのは禁物です。同じレインズのデータでは、成約件数が3,709件で前年比▲3.4%(2ヶ月連続減少)、一方で在庫件数は45,804件と前年比+3.4%で3ヶ月連続増加しています。つまり「売り物件は積み上がるのに、買いが付きにくくなっている」状態。値段が下がったのは需給バランスが少し緩んできたサインであって、何かが崩れたわけではありません。中古戸建てに目を向けると成約価格は4,215万円で前年比+8.7%、5ヶ月連続上昇と真逆。市場全体が一律に動いているのではなく、商品ごとに方向性が分かれている点を押さえておきたいところです。

もう一つ、東京カンテイの2026年Q1データも合わせて読むと立体的になります。新築マンション坪単価は502.1万円で3期連続500万円台、中古坪単価は324.3万円で8期連続プラス。レインズの月次(5月)とカンテイの四半期(Q1)でタイムラグはありますが、注目は「築5年以内」中古の上昇率が前期+6.8%から今期+2.4%へ急ブレーキした点。新しい中古ほど価格上昇が一服し始めている、という共通のメッセージが見えてきます。

ワンルーム投資・家計への含意:建築費という「下がらないコスト」

建設・不動産市況の補足
建設・不動産市況の補足

ここで誤解しやすいのが、「中古価格が下がったなら、これから安く買えるチャンスでは?」という発想です。確かに出口(売却時)の相場が緩むのはマイナス材料ですが、入口(新築・築浅の供給価格)はそう簡単には下がりません。三菱地所レジデンスの新社長コメントが象徴的で、建築費が「戸当たり4,000万〜5,000万円水準」まで上昇し、用地競争も激化していると明言しています。建物を建てるコストそのものが高止まりしているため、デベロッパーは安売りができない。むしろ「パワーカップル・パワーファミリー」など支払い余力の高い層に絞った都心供給へと舵を切る、という方針です。

これがワンルーム投資にどう響くか。新築ワンルームの分譲価格は、この高い建築費を価格に転嫁したうえで提示されます。つまり買う側からすると、出口は緩み気味なのに入口は高い、という挟み撃ちの構図になりやすい。私が現役営業時代に売っていた頃と比べても、同じスペックの物件価格は明確に上がっています。にもかかわらず家賃は建築費ほど跳ね上がらないため、表面利回りはじわじわ薄くなる傾向にあります。

一方で東京カンテイのリセールバリュー調査は希望もくれます。首都圏377駅の平均リセールバリューは160.5%、新築時を下回った駅はわずか6駅。神谷町462.2%を筆頭に、港区が上位30駅中13駅を占めました。要するに「立地が良ければ築10年後も新築時を上回って売れた実績がある」。ただしこれは2015年前後分譲という、価格がまだ低かった世代の結果です。今の高い価格で買った物件が10年後に同じ倍率を再現できる保証はどこにもありません。過去の成功率を、これから買う物件の前提に流用しないことが大事です。

こうのすけの助言:今見るべきは「賃料の地力」と「在庫の動き」

今すべき判断は三つです。第一に、リセールバリューの高い駅=割安に買える駅ではないと理解すること。160.5%という平均値は「過去に買った人が得をした記録」であって、今の買値はすでにその期待を織り込んだ価格になっています。第二に、見るべき数字を「表面利回り」から「賃料の継続性」へ切り替えること。野村不動産が江戸川区で2LDK・約50㎡を14.9万〜17.3万円で供給するような事例は、実際の賃貸需要がどの価格帯に集中するかの参考になります。ワンルームでも、家賃を下げずに長く貸せるかが出口を支えます。第三に、レインズの在庫件数(45,804件で増加中)を毎月チェックすること。在庫が積み上がる局面で焦って売り買いするのは避けたい行動です。

避けてほしいのは、「中古が下がったから今が底」「立地が良いから絶対値上がりする」という両極端の決めつけです。下落はまだ1ヶ月分の前年比マイナスにすぎず、トレンド転換と断じるには早い。逆に上昇神話を信じ込むのも危険です。築5年以内の上昇率が+6.8%→+2.4%へ鈍化した事実は、上げ相場のエンジンが弱まりつつある合図かもしれません。数字を一つずつ確かめ、自分の物件の家賃が今後5年も維持できるかを冷静に見積もる:それが今週の市況から導ける、いちばん地に足のついた構えです。

今週の結論

リセールバリュー平均160.5%、中古坪単価8期連続上昇:数字だけ見れば追い風ですが、解釈には注意が必要です。300%超えが8駅ある一方、上昇の中心は港区・中央区など限られたエリア。「中古マンション全体が上がる」のではなく「選ばれた立地だけが大きく上がる」のが実態で、二極化はむしろ進んでいます。築5年以内の上昇率が+6.8%から+2.4%へ鈍化し、流通戸数も7期連続で縮小している点は、価格の天井を意識する材料として頭の片隅に置いておきたいところです。

来週は、引き続き中古市場のエリア別動向と、納税期に増えるフィッシングの新手口に注目します。

こうのすけのひとこと:「リセールバリューが高い駅」は過去の実績であって、これから買う物件の未来を保証するものではありません。神谷町の462.2%を見て焦る必要はなく、ご自身が検討する物件の立地・賃料・出口を、数字の裏側まで確認すること。そして資産を増やす話と同じ熱量で、メールの一通から資産を守る習慣も大切にしてください。

本記事は各種公開情報・公的注意喚起・各社発表をもとに、当社編集部(監修:こうのすけ/宅地建物取引士)が独自に要約・再構成した「今週のまとめ」です(原文の転載ではありません)。正確な数値・最新情報は各出典・公式サイトでご確認ください。投資・支払いの最終判断はご自身の責任でお願いします。