結論から: 2026年5月度の東日本レインズ速報が公表されました。注目は中古マンション成約㎡単価が約6年ぶりに前年比マイナスへ転じた点。在庫増加も続いており、これまでの右肩上がり相場に変化の兆しが見えます。数字を冷静に読み解き、ワンルーム投資への意味を考えます。

首都圏中古マンションの成約㎡単価が前年比-3.9%、前月比-6.0%と73ヶ月ぶりに下落 ・成約件数は-3.4%と2ヶ月連続減、在庫件数は+3.4%と3ヶ月連続で増加 ・一方で新規登録・在庫の㎡単価は前年比+20%超と高止まりが続く

東日本レインズの2026年5月度速報が出ました。長く上昇を続けてきた中古マンションの「成約」価格に、はっきりとした調整の兆しが表れた回です。成約は買い手が実際に納得して手を出した価格、在庫や新規登録は売り手の「出し値」。この両者の差が広がっている点が今月の読みどころです。数字の意味と、ワンルーム投資家がいま意識すべきポイントを整理していきます。

首都圏 中古マンション市場(東日本レインズ):成約㎡単価が73ヶ月ぶり下落、潮目は変わったのか

首都圏 中古マンション市場(東日本レインズ)の要点
首都圏 中古マンション市場(東日本レインズ)の要点

1)今週の動き:6年ぶりの「成約単価マイナス」が出た

東日本レインズが発表した2026年5月度のマーケットウォッチで、首都圏中古マンションの数字に明確な変化が出ました。まず目を引くのが成約㎡単価です。80.78万円/㎡で前年同月比マイナス3.9%。これは2020年4月以来、実に73ヶ月ぶりの下落です。前月比でもマイナス6.0%と一段下げ、レポートは「90年11月の水準まで低下した」と書いています。成約価格も5,067万円で前年比マイナス4.6%と、19ヶ月ぶりに前年割れに転じました。

成約件数は3,709件で前年比マイナス3.4%、これで2ヶ月連続の減少。一方で在庫件数は45,804件で前年比プラス3.4%と3ヶ月連続で増えています。つまり「売れる数は減り、売りに出される在庫は積み上がっている」という、需給が緩む方向のサインがそろってきたわけです。

ただし、ここで誤読しやすいポイントがあります。成約㎡単価は下がっていますが、新規登録㎡単価は112.67万円/㎡で前年比プラス22.3%と25ヶ月連続の上昇、在庫㎡単価も114.40万円/㎡でプラス28.8%と22ヶ月連続の上昇です。つまり「売り手が出してくる希望価格」はまだ高止まりしているのに、「実際に成約した価格」が初めて折れた、という構図です。売り手と買い手の値ごろ感のズレが、ついに成約データに表れ始めた、と読むのが妥当でしょう。

東京カンテイの四半期データも同じ方向を示します。中古平均坪単価は324.3万円で8期連続上昇と数字上は強いのですが、「築5年以内」の上昇率は前期プラス6.8%から今期プラス2.4%へ、「築10年以内」もプラス5.9%からプラス4.9%へと、上昇ペースの鈍化が鮮明です。価格はまだ上がっているが、上がる勢いは確実に落ちている、という段階です。

2)ワンルーム投資・家計への含意:単価下落=買い時、とは限らない

首都圏 中古マンション市場(東日本レインズ)の補足
首都圏 中古マンション市場(東日本レインズ)の補足

ここで多くの方がつまずくのが、「単価が下がったなら買い時では?」という反射的な発想です。気持ちはわかりますが、注意が要ります。

第一に、今回の㎡単価マイナス3.9%は、成約物件の中身(築年数・面積・エリア構成)の変化に影響されます。レポートでは成約物件の平均築年数が28.43年と、前年同月(26.71年)より古くなっています。古い物件の成約割合が増えれば、平均単価は自然に下がります。「相場全体が4%下がった」と単純に受け取るのは早計で、安い帯の取引が増えた結果という側面も含んでいるのです。

第二に、ワンルーム投資家にとって本当に効くのは、新規登録単価がまだ前年比プラス22.3%と高いという事実です。売主の希望価格は下がっていません。つまり「市場が下がったから安く買える」のではなく、「高い希望価格と、現実の成約価格の差が広がっている」局面です。値引き交渉の余地は生まれやすいものの、表示価格そのものが安くなったわけではない、ということです。

第三に、在庫が3ヶ月連続で増えている点は、売る側にとって地味に重い意味を持ちます。在庫45,804件はライバルの数です。出口(売却)を考える投資家にとっては、売れるまでの期間が伸びやすく、希望価格を通しにくくなる兆候です。家賃収入で回している間は影響が小さくても、いざ売る段になって「思った値で、思った早さで売れない」リスクが上がってきていると考えておくべきです。

なお戸建ては成約件数プラス2.9%、成約価格プラス8.7%(5ヶ月連続上昇)と、マンションとは逆の堅調さを見せています。住宅市場全体が崩れているわけではなく、マンション、特に価格が伸びきった帯で調整が始まっている、という限定的な動きと捉えるのが冷静です。

3)こうのすけの助言:今は「単価」より「成約と在庫の差」を見る

私の助言は明快です。まず、今月の数字一つで「天井を打った」と断じないこと。同時に「まだ上がる」と思考停止しないこと。73ヶ月ぶりの単価下落は無視できない節目ですが、1ヶ月の数字は築年構成のブレで大きく動きます。見るべきは単月の単価ではなく、「成約件数が減り、在庫が増える」という需給バランスが何ヶ月続くか、です。これがあと2〜3ヶ月続けば、調整は本物だと判断できます。

買う側の方には、新規登録単価と成約単価の差が開いている今こそ、売主の希望価格を鵜呑みにせず、レインズの成約相場を根拠に交渉する姿勢をおすすめします。「この築年・このエリアの直近成約は㎡いくらか」を提示できれば、価格高止まりの売り物件でも現実的な水準に近づけられます。

避けてほしいのは、「単価が下がった=今が底」と決めつけて慌てて買うこと、そして逆に「下がり始めたから売り急ぐ」ことの両方です。在庫が積み上がる局面で焦って売れば、足元を見られて安く叩かれます。今やるべきは、自分の保有物件の築年帯・エリアが、上昇が鈍ったどの層に当たるかを把握し、出口を取るなら在庫がさらに増える前か、需給が落ち着くまで待つかを冷静に選ぶこと。数字が変わり目に差しかかった今は、動くより「見極める」時間に充てる価値があります。

新築・中古マンション市場動向(東京カンテイ):中古坪単価は8期連続上昇、でも「成約」は73ヶ月ぶり下落という不一致をどう読むか

新築・中古マンション市場動向(東京カンテイ)の要点
新築・中古マンション市場動向(東京カンテイ)の要点

今週は東京カンテイの四半期レポート(2026年第1四半期)と、東日本レインズの5月度月例という2つの一次データが並びました。まず数字を自分の言葉で整理します。東京カンテイによれば、首都圏の新築マンション坪単価は前期比+0.4%の502.1万円。3期連続で500万円台を維持しました。けん引役は東京・埼玉ではなく、千葉県(前期比+87.2%)と神奈川県(同+23.1%)。船橋・柏・横浜・川崎で坪500万円超のタワー物件が多数供給され、平均を押し上げた、という構図です。つまり「立地全体が値上がりした」のではなく、「高額タワーがどこで売り出されたか」で四半期平均が大きく揺れている、という点が読みどころです。

中古マンションの平均坪単価は+5.9%の324.3万円で、なんと8期連続の上昇。ここだけ見れば「中古は強い」と映ります。しかし、見落としてはいけないのが上昇率の鈍化です。「築5年以内」は前期+6.8%→今期+2.4%、「築10年以内」も+5.9%→+4.9%と、伸びのスピードが明確に落ちています。坂道を登り続けてはいるが、傾斜が緩くなり始めた、というイメージです。

そして注目すべきがレインズの5月度です。中古マンションの成約㎡単価は80.78万円/㎡で前年比マイナス3.9%、これは2020年4月以来「73ヶ月ぶり」の下落。前月比でもマイナス6.0%と大きく、水準としては1990年11月並みまで戻りました。成約価格も5,067万円で前年比マイナス4.6%(19ヶ月ぶり下落)。成約件数は3,709件で2ヶ月連続減、在庫は45,804件で3ヶ月連続増。一方、新規登録㎡単価は112.67万円/㎡で25ヶ月連続上昇、在庫㎡単価も114.40万円/㎡(前年比+28.8%)と上がり続けています。

新築・中古マンション市場動向(東京カンテイ)の補足
新築・中古マンション市場動向(東京カンテイ)の補足

ここで「カンテイの中古坪単価は8期連続上昇なのに、レインズの成約は下落」という、一見矛盾した動きが起きています。これは矛盾ではなく、調査の対象が違うからです。ざっくり言えば、カンテイの坪単価は四半期ベースで広く拾った数字、レインズの成約㎡単価は「実際に売買が成立した物件」の月次平均です。そして今回の本質は、レインズの「売り手希望(新規登録・在庫㎡単価)は上がり続けているのに、買い手が応じた成約価格は下がった」というズレにあります。売主は強気のまま値札を貼り、在庫は積み上がり、それでも売れた物件だけ見ると値下がりしている:つまり希望価格と成約価格の乖離が開き始めたサインです。

ここからがワンルーム投資・家計への含意です。誤解しやすいのは「中古は8期連続上昇=今買っても値上がりが続く」という早合点。実際に動いているのは成約価格と在庫であって、在庫が3ヶ月連続で増え、成約件数が2ヶ月連続で減っている局面は、売り手が多く買い手が慎重、という需給の緩みを示します。とくにワンルーム投資で多い「築20年・築30年帯」は、レインズの平均成約㎡単価が下がったということは、出口(売却)時の手取りが想定より目減りするリスクが現実味を帯びてきた、ということ。新築や築浅タワーの坪単価ばかり見て「だから自分の区分も上がる」と考えるのは危険です。値上がりしているのは新築・築浅・タワーという特定セグメントで、古い区分ワンルームとは値動きの世界が違います。

もう一つ、新築供給戸数は7,368戸で前期反動から7千戸台に戻し、新築シェアは13.1%へ縮小。建築コスト高騰と中東情勢による資材影響で「供給の後ろ倒し」が増えています。供給が絞られれば希少性で価格は支えられやすい一方、家賃と乖離した高値づかみのリスクも残ります。

こうのすけの助言です。今いちばん見るべき数字は「坪単価」ではなく、レインズの①成約件数②在庫件数③成約価格と新規登録価格の差、の3点です。在庫増・成約減・乖離拡大が同時進行する局面では、売主は「もう少し待てば」と粘りがちですが、相場が緩み始めると待つほど不利になることもあります。逆に買う側は「8期連続上昇」の見出しに焦らされず、自分が狙う築年帯・エリアの成約事例を必ず確認してください。避けたいのは、新築タワーの値上がりニュースを根拠に古い区分ワンルームを「これから上がる」と買うこと。今週のデータは、相場が一本調子ではなくなってきた転換点の可能性を示しています。焦らず、対象セグメントの成約実態で判断する局面です。

ワンルーム投資への含意:成約単価「73ヶ月ぶり下落」をどう読むか

ワンルーム投資への含意の要点
ワンルーム投資への含意の要点

1)今週の動き:上がり続けた中古マンションに、初めて「下げ」のサインが出た

今週の最大の注目点は、東日本レインズの5月度データで、首都圏中古マンションの成約㎡単価が前年同月比マイナス3.9%となり、実に73ヶ月ぶりに下落した、という事実です。これは2020年4月以来の出来事で、ざっくり言えば「6年ぶりに、前年より中古マンションが安く成約された」ということになります。前月比でもマイナス6.0%と一段と大きく、成約価格自体も5,067万円で前年比マイナス4.6%(19ヶ月ぶりの下落)。成約件数も3,709件で前年比マイナス3.4%と2ヶ月連続で減少しました。

一方で、私が「ここが大事」と思うのは、売り手側の数字が真逆に動いている点です。在庫件数は45,804件で前年比プラス3.4%と3ヶ月連続の増加、しかも在庫㎡単価は114.40万円/㎡で前年比プラス28.8%、新規登録㎡単価も112.67万円/㎡で25ヶ月連続上昇しています。つまり、売り手は強気の高値で出し続けているのに、買い手はその値段では買わなくなってきた、というズレが鮮明になってきたのが5月の姿です。東京カンテイのデータでも、中古平均坪単価は324.3万円と8期連続で上昇しているものの、「築5年以内」の上昇率は前期+6.8%から+2.4%へ、「築10年以内」も+5.9%から+4.9%へと、明確に伸びが鈍っています。「まだ上がっているが、上がり方が急ブレーキ」という局面です。

2)ワンルーム投資・家計への含意:誤解しやすい3つのポイント

ワンルーム投資への含意の補足
ワンルーム投資への含意の補足

ここでワンルーム投資家がつまずきやすい誤解を整理します。

誤解その1「下がったから買い時だ」。 今回下がったのは“成約”㎡単価、つまり実際に取引が成立した値段です。一方で売主が出している“新規登録”や“在庫”の単価はむしろ上がり続けています。市場で目にする売り出し価格(指値前の高い数字)と、実際に売れる価格の差が広がっている、ということ。営業マンが見せてくる「周辺相場」が登録価格ベースだと、あなたは天井圏の価格を「相場」と勘違いして買わされる危険があります。

誤解その2「自分の物件もこれから値上がりする」。 カンテイの築年帯別を見ると、上昇を牽引しているのは築浅と都心のタワー的物件です。新築坪単価は502.1万円、築5年以内は651.1万円。対して築40年超は324.3万円。ワンルーム投資で多い「築20〜30年・地方やや郊外」の出口は、この派手な上昇とは別世界で動いていると考えるべきです。レインズの成約物件の平均築年数は28.43年。つまり実際に売れているのは“それなりに古い”物件で、ここが今回値下がりの中心ゾーンと重なります。

誤解その3「家賃も連動して上がる」。 売買価格と家賃は連動しません。価格が上がれば表面利回りは下がります。たとえば家賃8万円(年96万円)の区分を2,000万円で買えば表面4.8%ですが、同じ家賃で2,400万円なら4.0%。価格上昇局面で新規に買うほど、利回りは薄くなり、金利上昇に対する耐久力も落ちます。

3)こうのすけの助言:今すべき判断と、避けるべき行動

私の助言は明確です。「指標は売り出し価格ではなく、成約価格(実際に売れた値段)で見る」こと。レインズ会員の不動産会社に依頼すれば、対象エリア・築年・面積に近い直近の成約事例を出してもらえます。これを基準に、提示物件が割高か割安かを冷静に判定してください。新築ワンルームの営業現場では「将来◯円で売れます」という出口想定を高めに置きがちですが、今は成約単価が前月比6.0%も動く時期。出口価格は強気想定の8〜9割で見積もるくらいが安全です。

避けるべき行動は3つ。①「下がった=買い時」と急いで飛びつくこと。下げの初動か一時的な調整かは、まだ1ヶ月のデータでは判断できません。在庫が3ヶ月連続で増えている以上、売り急ぎが出れば調整が続く可能性もあります。②表面利回りだけで判断すること。管理費・修繕積立金・固定資産税・空室・金利上昇を引いた実質手取りで、毎月いくら残るかを必ず試算する。③金利上昇局面でフルローン・高い借入比率を組むこと。価格が高止まりしている今こそ、自己資金を厚めに入れて返済比率を下げ、家賃が下がっても回る設計にしておく。

見るべき数字は、(A)対象エリアの成約㎡単価の推移、(B)在庫件数の増減、(C)あなたの想定家賃の実勢(募集ではなく成約家賃)、この3点です。今は「上昇の終盤かもしれない局面」。焦らず、成約データという一次事実に立って、利回りと返済耐久力で判断してください。

今週の結論

今月の数字で押さえたいのは「売り手と買い手の温度差」です。新規登録・在庫の㎡単価は前年比+20%超と強気が続く一方、実際に成約した㎡単価は-3.9%。売り出し価格は高いまま、買い手が付く価格は下がり始めた、という構図です。在庫が3ヶ月連続で増えていることも、この温度差を裏付けています。

ただし、1ヶ月の動きだけで「相場が崩れた」と断じるのは早計です。前月比-6.0%は変動幅としては大きいものの、季節要因や成約物件の構成(築年数・エリア)によってもブレます。来週以降は、この下落が一過性か継続するか、成約件数と在庫の推移を併せて確認したいところです。

こうのすけのひとこと:上がり続ける相場では「買い時を逃すな」と煽られがちですが、こういう局面こそ慌てない姿勢が効きます。売り出し価格が高止まりしている=割高な出物が増えやすいということ。指値交渉の余地が出る可能性もあります。新築・中古問わず、表面利回りだけでなく成約相場と出し値の差を自分で確認する習慣を持っておきましょう。

本記事は各種公開情報・公的注意喚起・各社発表をもとに、当社編集部(監修:こうのすけ/宅地建物取引士)が独自に要約・再構成した「今週のまとめ」です(原文の転載ではありません)。正確な数値・最新情報は各出典・公式サイトでご確認ください。投資・支払いの最終判断はご自身の責任でお願いします。