「不動産投資をすると税金が戻りますよ」。そう聞いたことがある方は多いと思います。これは本当です。ただ、なぜ戻るのか、いくら戻るのかを説明されないまま検討している方も少なくありません。
この記事では、不動産投資で税金が戻る仕組みを、中古ワンルームの試算の数字で順番に確かめます。
私たち「みんなのワンルーム投資」は、ワンルーム投資の相談サービスを運営しています。代表のこうのすけは宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナーで、税理士ではありません。この記事は仕組みと計算の考え方の解説です。あなた個人の申告や判断は、必ず税理士にご相談ください。
30秒でいうと

- 不動産所得が赤字になると、給与所得と合算(損益通算)できる
- 戻る税金は「損益通算できる赤字×税率」。赤字がそのまま戻るわけではない
- 赤字の主役は、お金が出ていかない減価償却と、1年目だけの購入時の諸費用
- 土地を買うための借入の利息にあたる部分は、赤字でも給与と相殺できない
仕組み1:不動産所得の赤字を給与と合算する(損益通算)
会社員の方には給与所得があります。ワンルームを買って人に貸すと、家賃が入ってくるので、もう1つ「不動産所得」という箱ができます。
不動産所得 = 家賃収入 - 経費
この不動産所得が赤字になったとき、その赤字を給与所得から差し引けます。これを損益通算といいます。

会社員は、給与から毎月所得税が源泉徴収され、年末調整で1年分の所得税が一度確定しています。そこに不動産の赤字を加えて翌年2〜3月に確定申告をすると、払いすぎた所得税が春ごろに口座に振り込まれます。住民税は振り込みではなく、その年の6月から給与天引きされる金額が下がる形で戻ってきます。
戻ってくるお金が「春の振り込み」と「6月からの天引きの減額」の2回に分かれて見えるため、得をした実感が大きくなりやすいのが特徴です。
仕組み2:戻るのは「赤字×税率」だけ
戻る金額を決めるのは、あなたの税率です。所得税は、課税される所得が増えるほど段階的に税率が上がる仕組み(5〜45%)で、そこに住民税の約10%が加わります。
| 課税される所得 | 所得税の税率 | 住民税と合わせた目安 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 約15% |
| 195万〜330万円 | 10% | 約20% |
| 330万〜695万円 | 20% | 約30% |
| 695万〜900万円 | 23% | 約33% |
| 900万〜1,800万円 | 33% | 約43% |
※所得税には復興特別所得税(所得税×2.1%)が加わります。

つまり、100万円の赤字でも、税率30%の人に戻るのは約30万円です。赤字の100万円が丸ごと戻るわけではありません。
仕組み3:赤字の主役は「お金が出ていかない経費」
家賃が入っているのに、なぜ赤字になるのでしょうか。理由は大きく2つです。
1つ目は減価償却です。建物の値段を何十年かに分けて、毎年少しずつ経費にしていく計算です。実際の支払いは買ったときに済んでいるので、その年にはお金が出ていかないのに、帳簿の上で経費が立ちます。鉄筋コンクリートのマンションの建物は、法律で決まった耐用年数が新築で47年です。中古はこれより短くなります(計算のしかたは中古マンションの減価償却と耐用年数で解説しています)。なお、土地は減価償却できません。
2つ目は1年目だけの諸費用です。登録免許税や不動産取得税など、買ったときに払うお金の多くは、支払った年の経費になります。一方で、仲介手数料は物件の取得価額に入り、ローンの保証料は期間に分けて経費にするなど、中身によって扱いが違います。

数字で確かめる:年収800万円・中古ワンルームの場合
家賃月10万円の中古ワンルーム(築6年・11年・21年)を、年収800万円の会社員が全額ローンで買った試算です(前提は記事の下にまとめました)。建物をまとめて償却する方法(A)の場合、戻る税金は次のとおりでした。
| 物件 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 6年間の合計 |
|---|---|---|---|---|
| 築6年 | 約12.8万円 | 約0万円 | 約0万円 | 約12万円 |
| 築11年 | 約11.8万円 | 約0万円 | 約0万円 | 約10万円 |
| 築21年 | 約10.0万円 | 約0万円 | 約−0.4万円 | 約6万円 |

戻る税金は、ほぼ1年目の分だけでした。2年目からは赤字が小さくなり、その赤字も次に説明する決まりで給与と相殺できない部分があるためです。4年目以降は帳簿上が黒字になり、税金が増える年も出てきます。
土地の借入利息は、赤字でも給与と相殺できない
ローンの利息は、不動産所得の計算では経費になります。ただし、赤字を給与と損益通算するときには、赤字のうち、土地を買うための借入の利息にあたる部分は通算できないという決まりがあります(租税特別措置法41条の4)。

たとえば築6年の物件(建物6割・土地4割)では、2年目の利息約53万円のうち、土地の分にあたる約21万円は通算できる赤字から外れます。建物をまとめて償却した場合、2年目の不動産所得は約2.5万円の赤字ですが、この赤字はすべて土地の利息の分にあたるため、戻る税金は0円でした。販売資料のシミュレーションに、この決まりが入っているかは必ず確かめてください。詳しくは不動産所得の損益通算とはで解説しています。
「その節税が、あなたの場合にいくらになるのか、何年続くのか、売るときに何が起きるのか」を、トランス税理士法人の中山慎吾 代表税理士(不動産投資に特化・確定申告書を年間2,000件以上作成)と、宅地建物取引士のこうのすけが確かめる会です。物件の販売は行いません。
日時:2026年10月27日(火)19:30〜21:00(受付19:15)
会場:東京都港区新橋(定員10名)。オンライン・アーカイブ視聴もあります
参加費:2,000円(税込)
減価償却した分は、売るときに戻ってくる
減価償却で経費にした分だけ、帳簿上の物件の値段は下がっていきます。そのため、買ったときと同じ値段で売れても、税務上は「帳簿上の値段より高く売れた=利益が出た」扱いになり、その利益に税金がかかります。

試算では、年収800万円・建物をまとめて償却した場合、6年間で戻った税金は約6〜12万円、6年後に同じ値段で売ったときの税金は約35〜36万円でした。持っている間に下がった税金は、売るときに課税の対象として戻ってくると考えておくのが安全です(値下がりして利益が出なければ、この税金はかかりません)。売るときの税金は投資用マンションの売却にかかる税金で詳しく扱っています。
まとめ:仕組みを知ると、確かめる順番が分かる

- 戻る税金は「損益通算できる赤字×税率」だけ
- 赤字の主役は減価償却と1年目の諸費用で、戻る税金は1年目に集中しやすい
- 土地の借入利息の分は、赤字でも給与と相殺できない
- 減価償却した分は、売るときに課税の対象として戻ってくる
節税の効き方は、年収(税率)・物件・売る時期で大きく変わります。年収別の結果はワンルーム投資で節税できる年収は?、6年後の売却までの全体は不動産投資の節税シミュレーションにまとめました。
検討中の物件の値段が、金融機関から見て割高でないかは、無料の割高診断で確かめられます。
試算の前提:中古ワンルーム(東京・駅徒歩5分)、家賃月10万円、建物管理費と修繕積立金は月1.2万円、価格は金融機関の評価利回り(築6年3.5%・築11年3.6%・築21年3.7%)で割り戻した値段(3,017万円・2,933万円・2,854万円)。全額ローン・金利1.8%・35年。管理手数料は家賃の5%、固定資産税等は年5万円、保険は年1万円、1年目の諸費用60万円を経費とした仮定。建物の割合は築6年60%・築11年55%・築21年45%(仮定)。戻る税金は、赤字を入れる前と後で所得税(復興特別所得税を含む)と住民税を毎年計算し直した差です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の物件の購入・売却を勧誘するものではありません。税務の取り扱いは個別の状況で異なるため、実際の申告は税理士にご相談ください。
※試算は上記の前提による概算で、将来の家賃・売却価格・税額を約束するものではありません。税制は2026年9月時点の内容です。
