「ワンルーム投資で節税できるのは、年収いくらからですか?」。相談でよく受ける質問です。

答えを先に言うと、戻る税金だけなら、どの年収でも戻ります。けれど、6年後に売るときの税金まで差し引くと、税金だけでプラスになる年収は、かなり限られていました。この記事では年収5段階で計算した結果をお見せします。

この記事を書いている私たちの立場

私たち「みんなのワンルーム投資」は、ワンルーム投資の相談サービスを運営しています。代表のこうのすけは宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナーで、税理士ではありません。以下は一定の前提を置いた試算です。あなた個人の申告や判断は、必ず税理士にご相談ください。

年収と税率の関係

戻る税金は「損益通算できる赤字×税率」で決まります。税率は年収そのものではなく、控除を引いた後の課税される所得で決まります。

年収と税率の目安
年収と税率の目安
年収(目安)給与の課税所得(試算で置いた値)所得税の税率住民税と合わせた目安
500万円250万円10%約20%
800万円480万円20%約30%
1,200万円850万円23%約33%
1,500万円1,070万円33%約44%
2,000万円1,500万円33%約44%

※住民税と合わせた税率には、所得税の復興特別所得税(×1.021)を含めた目安です。課税所得は、社会保険料や扶養などの状況で変わります。

年収と課税所得の対応は、扶養・社会保険料・基礎控除などで変わるため、上の表は試算で置いた目安です。当サイトの年収別の記事(2026年・40歳未満・扶養なしの会社員で計算)では、年収600万円の課税所得は約244万円(所得税10%の段)、年収1,000万円は約616万円(所得税20%の段)でした。ご自分の源泉徴収票や確定申告書の「課税される所得金額」で、どの段にいるかを確かめてください。

試算の物件:中古ワンルーム3物件

家賃月10万円・東京・駅徒歩5分の中古ワンルームを3つ(築6年3,017万円・築11年2,933万円・築21年2,854万円)、全額ローンで買い、6年持って7年目の初めに同じ値段で売った場合です。減価償却は2通りで計算しました。

  • A:建物をまとめて躯体の耐用年数で償却
  • B:建物の70%を躯体、30%を設備(給排水・ガスなど)の耐用年数で償却

設備30%は比べるための仮定で、実際に分けるには根拠資料と税理士の確認が必要です。

結果1:6年間で戻る税金

年収別 6年間で戻る税金
年収別 6年間で戻る税金
年収築6年 A/B築11年 A/B築21年 A/B
500万円8/37万円6/64万円4/47万円
800万円12/58万円10/100万円6/83万円
1,200万円13/64万円11/110万円7/92万円
1,500万円17/83万円14/144万円9/120万円
2,000万円17/83万円14/144万円9/120万円

年収が高いほど、そして設備を分けるほど、戻る税金は大きくなりました。年収1,500万円と2,000万円が同じなのは、どちらも約44%の同じ税率の段にいるためです。

結果2:売るときの税金を差し引いた「税金だけの損得」

減価償却した分だけ帳簿上の値段が下がるので、同じ値段で売れても利益が出た扱いになり、長期の税率(約20%)で税金がかかります。6年後に売るときの税金は、Aで約35〜36万円、Bで約85〜118万円でした。

税金だけの損得
税金だけの損得
年収築6年 A/B築11年 A/B築21年 A/B
500万円−27/−48万円−29/−54万円−32/−51万円
800万円−23/−27万円−26/−18万円−29/−15万円
1,200万円−22/−21万円−25/−8万円−29/−6万円
1,500万円−18/−2万円−21/+26万円−27/+21万円
2,000万円−18/−2万円−21/+26万円−27/+21万円

この前提で、税金だけでプラスになったのは、課税所得1,070万円相当以上(年収1,500万円前後以上)で、設備の年数が短い築11年・築21年を、設備を分けて償却した場合だけでした。設備の年数が10年ある築6年では、年収2,000万円でも約2万円のマイナスでした。

結果3:設備を分けると得か損か(トータルの差)

設備を分けたときのトータルの差
設備を分けたときのトータルの差
年収築6年築11年築21年
500万円−21万円−25万円−19万円
800万円−4万円+8万円+15万円
1,200万円0万円+17万円+22万円
1,500万円以上+16万円+47万円+48万円

年収500万円では、3物件とも分けると損でした。持っている間に戻る税金の率は約20%なのに、売るときも減価償却した分に約20%かかるので、前に戻った分より後で払う分が多くなるためです。「設備を分けると節税になる」は、税率の高い人ほど本当で、税率の低い人にはかえって損になることがある、というのが正確な答えです。

年収別の考え方

年収別の考え方
年収別の考え方

年収500〜600万円前後:戻る税金はありますが、税率が低いため効果は小さく、設備を分けると損になることがあります。住宅ローン控除を使っている方は、戻る税金がさらに小さくなります(住宅ローン控除・ふるさと納税への影響)。

年収800〜1,200万円前後:戻る税金は増えますが、この試算では税金だけの損得はまだマイナスでした。設備を分けるかどうかの差は物件によって−4〜+22万円です。

年収1,500万円前後以上:税率約44%の段に入り、設備を分けた場合に税金だけでプラス20万円台になる物件がありました。ただし、その差は数十万円で、家賃1万円の差の10分の1以下です。

10月27日(火)税理士と宅建士が「節税」を数字で確かめる会

この試算は家賃10万円・全額ローン・同じ値段で売れるといった一定の前提の例です。「自分の年収と物件だといくら戻り、売るときにどうなるのか」を、トランス税理士法人の中山慎吾 代表税理士と、宅地建物取引士のこうのすけが確かめます。年収が上がって税負担が重くなってきた会社員・医療従事者・士業の方に向けた会です。物件の販売は行いません。

日時:2026年10月27日(火)19:30〜21:00(受付19:15)

会場:東京都港区新橋(定員10名)。オンライン・アーカイブ視聴もあります

参加費:2,000円(税込)

セミナーの詳細・お申し込み(Peatix)

年収より効くもの:家賃と買った値段

同じ試算で、5年目に家賃が1万円上がった場合(売るときの値段も上がった家賃の分だけ上がるシナリオの一例)、年収800万円のトータルは約270〜280万円増えました。

家賃1万円の差と税金の差
家賃1万円の差と税金の差
比べるものトータルの差
設備を分けるかどうか(年収1,500万円以上)最大 約48万円
家賃が1万円上がるかどうか約270〜280万円

年収が高い人ほど節税の効果は大きくなりますが、それでも家賃と物件の価値の差のほうが、けた違いに大きい。年収の高い方こそ、「節税になるか」より「割高で買っていないか」「家賃が上がる余地はあるか」を先に確かめてください。

年収に関係なく確かめる順番
年収に関係なく確かめる順番
  1. 物件の値段が、金融機関の評価利回りで割り戻した値段と比べて割高でないか
  2. 家賃は相場と比べて適正か、上がる余地はあるか
  3. 毎月の持ち出しはいくらか
  4. 税金は、その上乗せとして見る
まずは物件の値段を確かめる
まずは物件の値段を確かめる

検討中の物件の値段は、無料の割高診断で確かめられます。

新築ワンルームで年収1,500万円の場合の試算は年収1500万円は不動産投資で節税できる?、試算の全体は不動産投資の節税シミュレーションにまとめています。


試算の前提:東京・駅徒歩5分の中古ワンルーム。家賃月10万円、建物管理費と修繕積立金は月1.2万円。価格=(家賃-建物管理費-修繕積立金)×12÷評価利回り(築6年3.5%・築11年3.6%・築21年3.7%)。全額ローン・金利1.8%・35年。管理手数料は家賃の5%、固定資産税等は年5万円、保険は年1万円、1年目の諸費用60万円を経費とした仮定。建物の割合は築6年60%・築11年55%・築21年45%(仮定)。1月に買って6年持ち、7年目の初めに同じ値段で売却(売却費用3%・長期の税率)。赤字を入れる前と後で所得税(復興特別所得税を含む)と住民税を毎年計算し直した差を「戻る税金」としています。土地の借入利息にあたる赤字は損益通算に入れていません。住宅ローン控除は使っていない前提です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の物件の購入・売却を勧誘するものではありません。税務の取り扱いは個別の状況で異なるため、実際の申告は税理士にご相談ください。設備30%は比べるための仮定です。

※試算は上記の前提による概算で、将来の家賃・売却価格・税額を約束するものではありません。税制は2026年9月時点の内容です。